いわゆる「ドリームポップってどういう音楽?」と聞かれたら、私はCASTLEBEATを聴かせたいです。特にこの5thアルバム『Stereo』は、メロディ好きにとってはたまらない、極上の美メロぞろいのアルバムです。ドリーム感が強すぎるとグルーヴやノイズが強くなりがちですが、この『Stereo』はメロディとドリーム感のバランスが最高です。ポップなメロディに合わせて歌われるのは、それとは逆の、少し悲しくて切ないストーリー。このギャップもCASTLEBEATの魅力だと思います。一言で言うとロマンチックです。ドリームポップは下手すると悲壮感が出ますが、このアルバムは最終的にロマンチックに仕上がりました、という感じです。
1曲目のうららかなミドルテンポの「Wish」から始まり、叙情的なリフレインが印象的な「Moonlight」、3曲目はややシューゲイズ感も感じられる浮遊感のある「Tom’s Place」など、かなりリピートして聴いた曲が多いアルバムです。私のベストソングは、4曲目のやや疾走感もある極上のドリームポップ「Birthday」でした。
序盤のポップソング連発の後には、テクノ/ポストパンク感もある「Honest」や、メランコリックなバラード調の「Too Late」、ミラーボールが頭の中で回ってしまうようなディスコ感も感じるアルバム表題曲「Stereo」など、感触のバラエティもありながら、全体としては統一感のある曲作りとなっています。
Spirit Gothのレーベル運営やカセットテープクラブなど、Lo-Fi × DIYを貫いているアティテュードにも感心させられます。ドリームポップの新たな教科書のような一枚です。
(Haru)
Influences
Beach Fossils / Wavves / Joy Division / The Cure / The Chameleons / Slowdive / The Beach Boys(いずれも本人の発言から)
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Release Info
- Year2024
- LabelSpirit Goth Records
- FormatLP
SS Report
概要
Josh Hwang のプロジェクト、CASTLEBEAT のアルバムです。2024年7月26日に、Hwang 本人が立ち上げたレーベル Spirit Goth Records からリリースされました。全13曲です。
フルアルバムとしては、『CASTLEBEAT』(2016年)、『VHS』(2018年)、『Melodrama』(2020年)、『Half Life』(2022年)に続く5作目です。間に EP『Vintage Flowers』(2017年)と『Nothing』(2023年)があります。次の作品は『Revival』(2025年)です。
デジタルのほか、LP(白と青のスプラッター盤、1000枚限定)と CD で発売されました。CD は2024年10月の発売とされています。Hwang は南カリフォルニアを拠点にしています。
制作
作曲、録音、ミックスについての具体的な情報は、確認できませんでした。CASTLEBEAT はこれまで、自宅のガレージで録音してきたプロジェクトです。
CD のクレジットには、曲ごとに共同プロデューサーが載っています。「Wish」は Brodie Cole、「Old Flame」と「Over」は Erik Thorsheim、「Birthday」「Something Else」「Stereo」は Freddy Kwon です。ジャケットは Stephanie Kuse です。
シングル・代表曲
- Wish(2022年12月に先行公開)
- Something Else(2023年7月に先行公開)
- Stereo(表題曲。レビューで、いちばんの聴きどころに挙げられています)
- Old Flame / Moonlight(レビューで挙がる曲)
本人の発言
このアルバムについて本人が語った発言は、見つかりませんでした。以下は、前後の時期のインタビューでの、作り方や考え方についての発言です。
- Josh Hwang は、音響の正式な訓練は受けておらず、耳だけを頼りに作ってきたと話しています。今は、楽器ひとつひとつの居場所となる空間を作るアレンジに力を入れているそうです。(DKFM、2022年)
- 磨き込んだスタジオの音より宅録を好み、自分の作品を「手作りのパイ」にたとえています。リバーブやエフェクトで音をぼかすことで、ポップ寄りのメロディーも成り立たせられる、とも話しています。(DKFM、2022年)
- ギターは、ほぼ1本のストラトキャスターで弾いているそうです。音作りは Logic Pro で行い、一部はテープの機械で録ってから取り込むこともあると話しています。(DKFM、2022年)
- ライブは好きではない、と話しています。(DKFM、2022年)
- プロジェクトは、レトロなドラムマシンを使ったローファイのドリームポップをやるために始めたそうです。作曲は、短いメロディーの断片を書きためて、良いものだけを育てる方法で、「直感を信じて素早く」を大事にしているそうです。(She Listens to Sigur Rós、2021年)
- 好きなのは、明るいメロディーに、悲しい音作りや歌詞を合わせる組み合わせだと語っています。(The Honeycombers、2020年)
- 当時のローファイは、意図した美学ではなく、機材が限られていた結果だったと話しています。(The Honeycombers、2020年)
評価
このアルバムを取り上げた批評は、ほとんど見つかりませんでした。しっかりしたレビューは1本だけです。
- Static Sounds Club(2024年):全体にかなり好意的な評です。「Wish」はスレイベルと脈打つベースのある夏向きのドリームポップとしています。表題曲「Stereo」は、ダンス向けのベースとドラムに気だるい歌が乗る「矛盾の歌」で、アルバムでいちばん好きな瞬間かもしれないと書いています。「Old Flame」のファンキーなベースと80年代風のソロ、「Something Else」のいつもの CASTLEBEAT らしさにも触れています。曲ごとにドラムやギターの扱いが変わる、実験的な面も評価しています。留保は書かれていません。
- Norman Records(販売店の紹介文):バブルガム・ポップからクラシックなニューウェイヴまで幅のある、ノスタルジックなポップのアルバムと紹介しています。これは評価ではなく、紹介文です。
- Spirit Goth Records(レーベル自身の説明、2025年):次作の告知の中で、このアルバムを「soft, jubilant(やわらかく、うれしそうな)」と書いています。






