(ここに感想を書きます)
(Haru)
Influences
The Human League / The Magnetic Fields / Björk / The Cure / Lali Puna(いずれも本人の発言から)
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Release Info
- Year2003
- LabelSub Pop
- FormatLP
SS Report
概要
Death Cab for Cutie の Ben Gibbard と、Dntel の Jimmy Tamborello によるユニット、The Postal Service のアルバムです。2003年2月19日に Sub Pop からリリースされました。全10曲です。
これが1作目で、スタジオアルバムとしては唯一の作品です。Gibbard はシアトル、Tamborello はロサンゼルスを拠点にしていました。
制作
きっかけは、Gibbard が Dntel のアルバム『Life Is Full of Possibilities』の1曲で歌ったことでした。
作り方は、名前のとおり郵便でのやり取りです。Tamborello がインストの曲を CD-R に焼いて送り、Gibbard が構成を組み直し、歌やギター、鍵盤を足して送り返しました。Tamborello によると、月に2曲ずつ送り、1往復でほぼ完成形になったそうです。
バッキングボーカルには Rilo Kiley の Jenny Lewis が参加しています。「Nothing Better」のデュエットは Jen Wood です。Death Cab for Cutie の Chris Walla も、1曲でピアノを弾いています。
当初は EP の予定でしたが、Sub Pop の Tony Kiewel がフルアルバムにするよう勧めました。最初に作った10曲が、そのままアルバムになったそうです。
バンド名をめぐっては、アメリカ郵便公社(USPS)から商標を理由に書簡が届きました。最終的には、名前の使用を認める代わりに、USPS のサイトで CD を販売し、USPS の会議で演奏する、という形で落ち着いています。
シングル・代表曲
- Such Great Heights(2003年1月。アルバムに先行した1枚目のシングル)
- The District Sleeps Alone Tonight(2003年7月)
- We Will Become Silhouettes(2005年2月)
- Nothing Better / Brand New Colony(レビューや本人の発言でよく挙がる曲)
本人の発言
- Jimmy Tamborello は、ドイツのレーベル Morr Music からの影響が大きかったと話しています。もっと実験的になると思っていたが、作るうちに素直なポップソングを楽しむ方向になったそうです。(Drowned in Sound、2013年)
- Tamborello によると、「Such Great Heights」は、無名の80年代の曲のカバーを断念し、その音色を転用して生まれたそうです。Gibbard の歌が乗ると、すべてが想定よりポップになったと語っています。(Grammy.com、2023年)
- Ben Gibbard は「The District Sleeps Alone Tonight」について、ワシントン DC に移った元恋人を訪ね、自分の知らない新しい生活に触れた体験がもとだと話しています。(Life of the Record)
- Gibbard は「Such Great Heights」について、長く想っていた相手に夢中だった時期に書いたと語っています。自分の曲としては珍しく素直なラブソングで、当初は気恥ずかしかったそうです。(Life of the Record)
- 「We Will Become Silhouettes」は、9.11のあとの不安の中で書いたそうです。明るい曲調に、暗い歌詞を合わせています。(Life of the Record)
- Gibbard は、手本にした曲も挙げています。「Nothing Better」は The Human League「Don’t You Want Me」、「Recycled Air」は Liz Phair、「Brand New Colony」は The Magnetic Fields だそうです。(Life of the Record)
- Tamborello は、曲ごとの音の参照元として Björk、Kompakt、Warp、Squarepusher、The Cure『Disintegration』などを挙げています。(Life of the Record)
- Gibbard は、この作品を誇りに思いつつ、ほとんど宣伝もツアーもしないまま作品がひとり歩きしたので、手柄を自分のものにするのは複雑だと話しています。(Life of the Record)
- Tamborello は、個人的で小さなローファイ作品のつもりだったと振り返っています。広く届いたのは Gibbard の声と編曲のおかげだそうです。(Life of the Record)
- Gibbard は、長く愛される理由として、SNS 以前でライブもほとんどなく、作品に謎があったことを挙げています。(SPIN、2023年)
- Jenny Lewis は、ヒットを狙う重圧がなかった自由さが、正直な音楽づくりを可能にしたと話しています。(Grammy.com、2023年)
- Gibbard は、2作目を作らない理由を、Death Cab for Cutie に集中したいからだと説明しています。(2024年。Wikipedia 経由で確認)
評価
- Robert Christgau(2003年):最初は弱々しく聞こえた曲が、聴くうちに美しくキャッチーになる、と書いています。Gibbard の声は、本体のバンドよりもこの控えめなエレクトロの編曲に合う、とも評しています。
- Entertainment Weekly(Will Hermes、2003年):ほぼ完璧なポップレコードという趣旨の評でした。(Wikipedia 経由で確認)
- Pitchfork(Matt LeMay、2003年):強い作品で、突出した瞬間がある、という評でした。(Wikipedia 経由で確認)
- Stereogum(Tom Breihan、2013年):どこからともなく現れて時代をつかんだ、としています。留保として、感傷的でぎこちない部分があり、プロダクションは今の電子音楽と比べると薄い、と書いています。
- Stereogum(Chris DeVille、2023年):記憶より持ちこたえている、としています。Passion Pit や Chvrches への道を開いたとする一方、Owl City のような模倣者のせいで遺産が薄まったとも書いています。留保は、シンセの音色がゲームの効果音のように聞こえることと、歌詞がときに甘すぎることです。
- Consequence(Chris Bosman、2013年):欠点がないからではなく、不完全さが聴き手の感情とかみ合ったから完璧なアルバムだ、としています。当初は「ポップすぎる、エモすぎる」という批判があったことにも触れています。
- PopMatters(2013年、Deluxe 盤の評):本編は10年たってもよく響くとしています。留保は、リマスターの差が感じられないことと、追加曲やリミックスの出来です。
- Under the Radar(Sam Cleeve、2013年):電子音楽にロマンスと感情を持ち込んだ作品、と評しています。
- 売上:Sub Pop では Nirvana『Bleach』に次ぐ歴代2位の売上になり、プラチナ認定を受けました。レーベルの当初の見込みは1〜2万枚で、じわじわと売れ続けたそうです。




